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1995年、W126はまだ「クラシック」じゃなかった。

執筆者の写真: yasuo daidoji
yasuo daidoji
8月29日
読了時間: 6分

更新日:8月30日

時代が変わっても、W126の存在感は変わらない
時代が変わっても、W126の存在感は変わらない

こんにちは!GRIP!です.

GRIPを始めた1995年。


今では「名車」「クラシックメルセデス」「ネオクラシックメルセデス」と呼ばれるW126も、当時はまだ普通に街を走っていました。

560SELも560SECも、今のように「希少なクラシックメルセデス」という目で見られていたわけではありません。


あれから30年以上。

ずっとメルセデスを見てきて、最近つくづく思うことがあります。

残る車には、やっぱり理由がある。


当時は「型落ちのベンツ」だった


1995年頃のW126は、まだ中古車として普通に流通していました。

今では程度のいい個体を探すこと自体が難しくなりましたが、

当時は今とはまったく違う存在でした。


それから30年以上。事故で廃車になった車、故障して手放された車、

修理代が車両価格を上回り直されずに終わった車、

部品取りになった車、そして海外へ渡っていった車。

いろいろな理由で、少しずつ姿を消していきました。


だから2026年の今、こうして程度のいいW126が何台もGRIPに並んでいる光景を見ると、少し不思議な気持ちになります。


2026年、GRIPに並ぶW126たち。30年以上前には普通だった光景が、今では特別な光景になりました
2026年、GRIPに並ぶW126たち。30年以上前には普通だった光景が、今では特別な光景になりました

値段が上がったから「名車」になったわけじゃない


最近はクラシックカーの価格が上がり、W126やR107なども高額で取引されるようになりました。

でも僕は、「値段が上がったから名車になった」とは思っていません。

逆です。いい車だったから、30年、40年経っても欲しい人がいる。

だから結果として価値が上がったんだと思います。


W126らしさが凝縮されたインテリア
W126らしさが凝縮されたインテリア

W126のドアを開けてシートに座る。

目の前には大きくて見やすいメーター。ウッドパネル。

必要なものが必要な場所に配置されたスイッチ。

そして、この時代のメルセデス独特のシート。


今の車のような大きなモニターもありません。最新の運転支援システムもありません。

でも、不思議と物足りないとは感じません。

「これでいいんだよな」と思わせてくれます。






シンプルで視認性の高いW126のメーターパネル

スペック表だけを見ても分からな
シンプルで視認性の高いW126のメーターパネル

スペック表だけを見ても分からないものがあります。

ドアを閉めたときの感触。シートに座ったときの安心感。高速道路での直進安定性。

ステアリングから伝わってくる感覚。

そして、何時間乗っていても疲れにくい独特の乗り味。


これが、僕が長年W126を見てきても飽きない理由の一つです。


「綺麗」の意味が昔とは変わってきた


30年以上経ったW126を見るとき、

僕たちはボディの艶だけを見ているわけではありません。


シート、ウッド、スイッチ類。細部にその車の歴史が現れます
シート、ウッド、スイッチ類。細部にその車の歴史が現れます

シート。ウッド。ダッシュボード。スイッチ。ドアトリム。カーペット。

こういうところに、その車がどんな30年を過ごしてきたのかが出ます。


リアシートにも、長年の扱われ方が表れます
リアシートにも、長年の扱われ方が表れます

綺麗に塗装し直すことはできます。部品を交換することもできます。

内装を張り替えることだってできます。

でも、長い年月を大切に扱われてきた車だけが持っている「状態の良さ」は、

後から簡単に作れるものではありません。

だからGRIPでは、「綺麗な車ですね」だけでは終わりません。

「この車に、何が残っているのか。」そこを大切にしています。


本当の状態は、下から見れば分かる


クラシックカーを買うとき、どうしても外装や内装に目が行きます。

もちろん、それも大切です。

でもGRIPではリフトに上げて、普段は見えないところも見ます。


リフトアップして確認するW126の下回り
リフトアップして確認するW126の下回り

下回り。足回り。オイル漏れ。ブッシュ類。マフラー。過去の修理跡。錆や腐食。


普段見えない部分こそ、車両の状態を判断する重要な材料です
普段見えない部分こそ、車両の状態を判断する重要な材料です

ここを見ると、表から眺めているだけでは分からないことがたくさんあります。

30年以上前の車です。何も整備しなくても乗れる、ということはありません。


でも、元々いい個体を整備することと、状態の悪い個体を一から直すことは、

まったく違います。

これがクラシックカー選びの難しいところです。


安いから買う」が一番難しい世界


「もっと安いW126がありますよね?」と言われることがあります。

もちろんあります。

ただ、クラシックカーは車両価格だけを比較しても、あまり意味がありません。


安く購入できても、その後にエアコン、足回り、燃料系、冷却系、電装系、AT、内装……次々と手を入れることになれば、

結果的に最初から状態のいい車を買った方が安かった、ということもあります。

そして今、もう一つ大きな問題があります。


部品です。


お金を出しても買えない部品が増えてきた

GRIPで保管しているメルセデスの部品
GRIPで保管しているメルセデスの部品

W126が現役だった頃は壊れれば部品を注文すればよかった。

でも今は違います。純正供給が終了した部品も増えています。

特に内装部品や細かな専用部品などは「欲しいから注文する」ということ自体ができなくなってきました。


だからGRIPでは昔から、使える純正部品や必要になると思った部品を大切にしています。

部品棚を見ると、「こんなのいつ使うの?」という物もあります(笑)。

でも何年か経って、その部品に助けられることがあります。

車を売るだけなら必要ないかもしれません。

でも、10年後、20年後までW126を走らせようと思えば部品を残すことも仕事の一つだと思っています。


30年前には想像していなかった


1995年にGRIPを始めた頃、30年以上経った2026年にも、こうしてW126を触っているとは思っていませんでした(笑)。

ましてや世界中の人が程度のいいW126を探し、日本に残っている車まで注目される時代になるとは思っていませんでした。

でも、考えてみれば不思議ではありません。

今乗っても、やっぱりいい車だからです。


流行とは少し違う。一時的な人気とも違う。

本当にいい物は時間が経ってから評価されることがあります。

30年以上メルセデスを見てきて、それを実感しています。


GRIPがこれからも残したいもの



GRIPは1995年からメルセデスを扱ってきました。

その間、本当にたくさんの車を見てきました。

素晴らしい車もありました。

残念ながら、もう直すことが難しくなってしまった車もありました。

だからこそ今は、「程度のいい個体を、できるだけいい状態で次の世代へ残したい。」という気持ちが以前より強くなっています。


単に古い車を販売するのではなく、その車が本来持っていた雰囲気や乗り味を大切にする。使える純正部品はできるだけ残す。直すべきところは、きちんと直す。

そして10年後、20年後にも、「やっぱりこのメルセデスはいいね」と言ってもらえる車にする。それがGRIPの仕事だと思っています。


30年以上経っても、こうしてW126がGRIPに並んでいる
30年以上経っても、こうしてW126がGRIPに並んでいる

1995年には、それが特別な光景になるなんて思ってもいませんでした。

でも今は、この光景を10年後にも残していたい。そう思っています。


1995年、W126はまだ「クラシック」じゃなかった。

2026年。今では立派なクラシックメルセデスです。でも僕にとっては、昔からずっと変わらない、「いいメルセデス」なんです。


ではまた!


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