Barolo Red 540 — 心を奪う“赤”の正体は?
- katsufuki
- 12月11日
- 読了時間: 3分
Mercedes-Benz W126 300SE(Barolo Red / 540)
最初に見たとき、なんて言えばいいのか分かりませんでした。
沈んでいるわけじゃない。かといって、派手さで押してくるタイプでもない。
なのに——視線がふっと吸い寄せられて、戻れなくなる。
そんな“赤”が、この Barolo Red です。

こんにちは、GRIP!名古屋の大ちゃんです。
赤には赤の個性があるけれど、この色だけは理由をうまく説明できない“余韻”が残る。
色なのに“引力”みたいなものが働く。
その正体をたどっていくと、どうやら Barolo Red には“ある秘密”が隠れていました。
🔻 光に触れるたび、雰囲気が変わる赤。
W126のボディラインは、光の入り方で性格が変わる車です。
そのラインに Barolo Red を乗せると、色がふわっと溶けるように馴染む。
直射のときは輪郭がくっきりして見えるのに、陰影に入ると一気に深く落ち着く。
「赤ってこんなに表情があるんだ」と思わず立ち止まってしまう瞬間があります。
強く主張してくるわけじゃないのに、近づくほど魅力が増していく ——そんな“距離感の妙”が、バローロレッドの魅力です。


🔻 短い期間だけ設定された、W126時代の特別色。
Barolo Red(540)は、90年代前半の限られた期間だけW126・W124・W201・R107の一部モデルに採用された希少色。
当時のメルセデスは“深み”や“落ち着き”を大切にした色づくりをしていた時代で、派手な赤よりも「静かに存在感を放つ赤」を求めるオーナーが一定数いました。
その中でも Barolo Red は、“選ぶ人が選ぶ色”として扱われていた特別なカラー。
だから現存数が少なく、「赤を選ぶならこれしかない」と言う方もいるほど。
🔻 上質なベロアの内装が、この色にぴたっと合う。
この時代のメルセデスのベロアは、光をまとうと上品にトーンが変わっていく“質感の美しさ”があります。
Barolo Red と組み合わさると、室内に柔らかい影が落ちて、一気に雰囲気が整う。
革シートとはまた違う、“乗った瞬間に気持ちが落ち着くクラシック感”。
W126 という車の静かな佇まいとよく合う理由は、ここにあります。

🔻 写真より、言葉より、車がすべてを教えてくれる色。
Barolo Red は、静止画だけでは魅力が伝わりません。角度を変えたときの深み、ラインに沿うときだけ見える“赤の芯”。
一度その変化を目の前で見ると、「なぜ惹かれるのか」その答えがふっと分かります。
主張していないのに記憶に残る。静かなのに存在感がある。
この矛盾みたいなバランスこそ、この色の正体。
だから好きになってしまうんです。
🔻 今はお客様に渡った1台ですが、記録として残します。
この Barolo Red の W126は、写真でも説明でも追いつかない魅力がありました。
色、雰囲気、整った佇まい。どこか“上質な日常”を連れてくるような一台。
手にしたお客様が、この色をどう楽しんでいくのか——それを想像するだけで、ちょっと嬉しくなります。

◆ 次回予告
GRIP には「色で心をつかむメルセデス」がまだあります。
次回は、眺めているだけで時間がゆっくり流れていくような“あの色”を
ご紹介する予定です。
また違うタイプの“心を奪う色”。どうぞお楽しみに。






コメント